| 小飼弾の「仕組み」進化論 著者:小飼弾 (日本実業出版社 単行本) |
これが256倍考えるプログラマーの流儀...でもビジネス本だ。
本書は、以前このブログでもご紹介した小飼弾氏の著書「弾言 成功する人生とバランスシートの使い方」の小節の一つ「貴族の義務を負うことになった平民」で問題提起された
【引用】弾言 P32
現代においては、バカであることが罪になってしまった
の答えであり、有罪と成らないためには何をしなければならないのかを説いた本だと私は捉えている。
上記の発言は、つまり何を意味しているのかというと
【引用】P12
高度に進化した仕組みがあなたのクビを絞める!
ということなのである。
小飼弾氏も本書の中で述べているのだが、これからは、新しい仕組みを作っていかなければ生きていけない。これまでの「仕組み」の歩みを見ていくと、あらゆる業界において、既に効率化の仕組みが洗練されており、インターネットの普及によって、今までにないビジネスモデルの仕組みが数多く誕生し飽和状態にある。現在、それらの仕組みが徐々に古くなり、我々が生産活動をしていく現場において機能しなくなってきている。だから、そのために新しい仕組みを次々に作っていく必要がある。
本書で述べられている「仕組み作り」の勘所は、特にオープンソースのプロジェクトやコミュニティに参加してきたプログラマ達であれば、その風土の中で自然に身につけてきたであろう流儀を応用していることにある。有名な「車輪の再発明」以外にも、プログラミング言語Perlの開発者であるラリー・ウォールの言葉−プログラマーの「三大美徳」を用いて説明している。その美徳によって、と言えば確定的すぎるのだが、関数化やモジュール化、テンプレート、リファクタリングなどの手法がプログラミングに登場している。本書では、それらの手法が、「仕組み作り」に効果的であると提言しているのである。どのような表現で説明されているかは、本書を読んでみてからのお楽しみ。
また本書の大事なところとしては、その「仕組み作り」に大切な条件というか環境が必要になるのだと述べている。それが、本の表紙にも小さく書かれている「新20%ルール」である。もしかしたら今までにも、経営者や上司から、「会社が生き残るためには、新しい事業を創らなければ成らない。そのためには、就業時間の80%は、…。残りの20%は、…。」と言うような話を聞いたことがないだろうか。それに対するアンチテーゼ的な提案を本書では行っている。
本書で述べられているとおり、「新20%ルール」を真剣に考えなければ、「仕組み作り」は到底できるものではないだろう。
最後に、コラム的な扱いとはなっているが、ベーシックインカムについても「仕組み作り」には必要であると述べている。この意見については、著者のウェブページも拝見しており、私も同意見である。この内容でも本書は十分に良書なのだが、この部分について、もう少し掘り下げてくれると嬉しかった。
目次 (amazonより)
Part0 仕組み作りが仕事になる
●仕組み化が進んだ社会
・高度に進化した仕組みがあなたのクビを絞める!
●仕組みづくりを仕事にするための「新20%ルール」
・生き残るために必要なのは“本当の”20%ルール
Part1 仕組みの仕組み 仕組みを作る前に知っておきたいこと
●仕組みはどんなふうにできているのか
・あらゆる仕組みは、「テコ」と「奴隷」でできている
・見えないテコ=公式が仕事を効率化する
●身近にある「テコ」と「奴隷」を使った仕組み
・ディズニーランドのサービスの秘密は、マニュアル=テコにある
・テコの力をコントロールできるFXの仕組み
Part2 仕組みを作り直す 目の前の仕事を20%の力でこなす仕組み
●プログラマーに学ぶ「仕組み作り」の基本
●プログラマーの三大美徳「怠慢」「短気」「傲慢」
・同じ作業の重複を嫌がる「怠慢」
・先回りして仕組みを作る「短気」
・プロ意識から仕組みのメンテナンスを容易にする「傲慢」
●日常業務を仕組み化してみよう
・仕事を定量化する
・事例1 無駄な繰り返しを減らす仕組みを考える
・事例2 すべての記録を保存して再利用
Part3 仕組みを使う 仕組みのコストとテストを考える
●仕組みは使ってなんぼ
・何回使えば元がとれるか
・残りの80%で遊ばなければならない理由
●「使わないでなんぼ」な仕組み
Part4 仕組みを合わせる チームで仕組み合うために
●仕組みを合わせる基本ルール
・仕組みの中のボトルネックを見つける
・生き残るためには安全性の高い並列的な仕組みに
●上手に仕組みを合わせる
・次の工程を見せて自分の役割を理解させる
・仕組みの位相・タイミングを合わせる
・泥縄的なマニュアル=最新のマニュアル
●安全に“仕組み合う”ための仕組み
・非常時に力を発揮するために「緊張しなくてよい」状況を示す
・保守担当者には、金銭的なモチベーションも必要
・意識させずに安全性を高める「自動化」と「自働化」
・リーダーの笑顔は義務である
・問題は自分よりふたつ上のレイヤーで考える
・コミュニケーションコストを減らす「モックアップ」
Part5 仕組みと生物 「新しい仕組み」を作るヒント
●生き残りの名人「生物」という仕組みに学ぶ
・どうやって生き残るかを考えるときが来た
・生き残るコツは、「生物」にあり
・突然変異を誘発するブレインストーミング
●生き残るための仕組みを作る
・レッド・オーシャンの隙間のブルー・オーシャンを狙え
・隙間を見つけるには、「遠くを見過ぎない」こと
・仕掛品をたくさん作り、最後の1ピースを待つ
Part6 仕組みの未来
●「リソース重視」の仕組み作りが格差をなくす
・持てる者と持たざる者のギャップ
●新しい仕組み作りへリソースを投じよう
・あなたは本当に働いているのか
・怠け者のアリが社会を豊かにする
・“ending concern”やオープンソース
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